【於 駒場】UTCP 連続講演会のお知らせ
原和之先生より、UTCPの連続講演会のお知らせをいただきました。ご講演いただく大阪大学の村上靖彦先生は、本分科の卒業生でいらっしゃいます。みなさま、どうぞふるってご参加下さいますよう。
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村上靖彦氏連続講演会「行為の生成・治癒の論理ーー現実触発への二つの応答」
日時:2010年10月9日(土)14:00-17:30
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3
講演者:村上靖彦(大阪大学)
司会:石原孝二(UTCP)・原和之(UTCP)
コメンテーター:十川幸司氏(精神分析家・精神科医)
使用言語:日本語
入場無料・事前登録不要
第1部 14:00-15:30(司会:石原孝二)
「看護研究を行為の現象学として読む――西村ユミ:目の光とひっかかりの時間性」
第2部 16:00-17:30(司会:原和之)
「秘密とその未来――ウィニコット・ラプランシュ・ドルトとコミュニケーションのねじれ」
(参考文献あり:「創造性と知覚的空想:フッサールとウィニコットを巡って」
http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/events/pdf/hs36-099.pdf)
講演概要
現象学はフッサールが構想したものよりも、さらに大きなポテンシャルを持っています。フッサールが主にテーマとした対象認識の裏面には、対象や状況からの触発という次元が横たわっているからです。社会的現実による触発とそこへの応答とに目を向けるとき、現象学には二つの道があるでしょう。一つが触発する複雑な社会環境への介入として行為を考える道、もうひとつは触発の受容能力(つまりある種の主体理論)として治癒や成長を考える道です。前者が看護研究と現象学が交差する点であり、後者が精神医学と現象学が交差する地点です。
いまだ分析されたことのない人間経験は無尽蔵にあります。その限りで事象分析としての現象学に終わりはありません。今回の発表では、具体的なデータの分析から現象学を拡張してゆくひとつの例を示せれば幸いです。
講演者プロフィール
村上靖彦氏:大阪大学大学院人間科学研究科准教授。基礎精神病理学・精神分析学博士(パリ第7大学)。エマニュエル・レヴィナスを中心とした現象学研究から出発し、現象学者としてのレヴィナスに焦点を当てた論文で博士号を取得。現在は医療現場でのフィールドワークを踏まえて、現象学と精神病理学(精神分析)を、テクスト分析と臨床実践の双方から架橋する作業を精力的に行っている。著作にLévinas phénoménologue (Millon, 2002)、Hyperbole. Pour une psychopathologie lévinassienne (Association pour la promotion de la Phénoménologie, 2008)、『自閉症の現象学』(頸草書房、2008)がある。最近の論文に「メタファーという治療装置
フォーカシング・フッサール・よしもとばなな」(『現代思想』2010年5月号)など。
関連URL http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/events/2010/10/murakami_yasuhiko_lecture_seri/